情報誌

4 月号/ 2011

インタビュー「石田泰尚さん」

11.04.03

ヴァイオリニスト 石田泰尚さん

ヴァイオリニスト

石田泰尚 氏


ISHIDA YASUNAO

プロフィール

国立音楽大学を首席で卒業、同時に矢田部賞受賞。

新星日本交響楽団コンサートマスターを経て、2001年より神奈川フィルハーモニー管弦楽団ソロ・コンサートマスターに就任、現在に至る。これまでにハチャトゥリアンやフィリップ・グラス、シューマンのヴァイオリン協奏曲他、多数の協奏曲をソリストとして共演し、そのどれもが好評を博している。

また、渡辺雄一プロデュースによる3枚のソロアルバムとブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲集(09年新譜)のほか、YAMATO弦楽四重奏団による「山田耕筰/弦楽四重奏(世界初録音)」、「幸松肇/弦楽四重奏のための日本民謡」、07年にソロを務めた「ヴィヴァルディ/四季(指揮/ハンス=マルティン・シュナイト、演奏/神奈川フィルハーモニー管弦楽団)」など、数々のCDがリリースされている。08年、神奈川文化賞未来賞を受賞。

◆石田泰尚さんHP



(イベント情報)

トリオ・リベルタ



トリオ・リベルタ

「10th アニバーサリー スペシャル ライブ」


日時:2011年4月8日(金)19時開演

会場:横浜みなとみらいホール




石田泰尚さんから、東北地方太平洋沖地震により被災された皆様に、応援メッセージをいただきました。

『これからが大変な日々ですが、頑張って生き抜いて下さい。

1日も早い復興を願っております。

自分も被災者の方々に希望を灯せるよう、自分が出来ることをしていきます』




ひとりひとりの個性を大切にする


昨年12月で「トリオ・リベルタ」が結成10周年を迎えられたそうですね。おめでとうございます。10年前とくらべて、何か変わられたところはありますか?
レパートリーが増えたことですね。昔は1アストル・ピアソラの曲ばかりやっていたんですが、最近では、映画音楽とかピアソラ以外の作曲家の曲などもやるようになりました。

1 アストル・ピアソラ

アルゼンチンの作曲家・バンドネオン奏者。タンゴをベースに、クラシックやジャズを融合させたオリジナルの演奏形態を生み出した。


結成して初めて演奏された時のことを覚えていらっしゃいますか?
覚えています。2000年12月の青葉台のフィリアホールが最初のコンサートでした。その時はまだトリオ名がなかったんです。演奏した曲はすべてピアソラの曲でした。
アストル・ピアソラの曲に出会われたきっかけは?
きっかけは、ピアノを担当している2中岡なんです。彼は、ずっと前からピアノでピアソラの曲をやっていたんです。その中岡が、大学の後輩にあたる3松原(「トリオ・リベルタ」サックス担当)と共演する機会があって、その時に中岡から「今度一緒に、ピアソラの曲をやらない?」って誘われたんです。ピアソラの曲に興味があったので「いいよ」って。それがきっかけです。それからピアソラのCDを聴いて、だんだんその魅力にとりつかれていったという感じですね。

中岡太志さん.jpg




2 中岡・・・中岡太志さん(「トリオ・リベルタ」のピアノ担当・リーダー)

昭和音楽大学ピアノ科卒業。

1997年にソロ・リサイタルを開催し本格的に演奏活動をする。98年には師、金井紀子とピアノ・デュオを結成した他、クラシックにとらわれないスタイルでライブ活動を開始。

なかでもオール・ピアソラ・プログラムによるピアノ・ライブは大きな反響を呼んだ。アンサンブル・ピアニストとしての評価は高く、岡本知高をはじめとする日本の第一線で活躍する声楽家のリサイタル伴奏を務める他、ヴァイオリニスト石田泰尚の良きパートナーとして、その美しい音色、豊かな表現力には定評がある。また、オペラからR&Bまで幅広く歌える魅力的な歌唱で近年、ヴォーカルも担当している。テレビ、FMへの出演やCD収録、様々なアーティストとの共演多数。第5回彩明ムジカコンコルソ伴奏賞受賞。

◆中岡太志さんの公式ブログはコチラ 



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3 松原・・・松原孝政さん(「トリオ・リベルタ」のサックス担当)

昭和音楽大学卒業(特別賞)。在学中より同大学オーケストラとP.クレストンの協奏曲を共演するなど数多くの演奏会に出演。A.Reed音楽祭ソロ・コンテストに最年少(16歳)で入選。

第2回東京室内楽コンクール入選。第16回日本管打楽器コンクール第3位入賞。東京文化会館「新進音楽家デビューコンサート」オーディションに合格。その他受賞歴多数。現在、ソロ、室内楽を中心にオーケストラや吹奏楽でも活動。「カルテット・スピリタス」「The Wind Wave」「Take8」のメンバー。2005年には自身初となるソロCD「Crusing」(ベルウッドレコード)をリリース。08年、BMGレコードからカルテットスピリタスとして「SCENE」をリリース。その他CD多数。また、CM・ドラマ・映画などのスタジオレコーディングなどにも多数参加。昭和音楽大学、上野学園大学非常勤講師。KEI音楽学院講師。

◆松原孝政さんの公式ブログ



アストル・ピアソラの魅力とは?
パッションが熱いというか…その瞬間、瞬間を大事にしているところというか…どう言っていいか難しいです。
トリオ名の「トリオ・リベルタ」の「リベルタ」(自由)には、どういう意味合いがあるのでしょうか?
『自由にお互いの個性を出す』ということです。「トリオ・リベルタ」は3人の演奏をひとつにまとめるというよりも、むしろ、ひとりひとりの個性を大切にする感じですね。そういう意味で「トリオ・リベルタ」の演奏は、自由な演奏といえるかも知れません。

トリオ・リベルタ



ジャズに近い感じですか?
そうかもしれません。「トリオ・リベルタ」はクラシックではないし…。だからリハーサルの時も「ここでこうしたらこうする」「ここの演奏はこうだからさ」というような、細かな打ち合わせは一切ないんです。だから、その時のお客さんのテンションで僕たちのテンションが変わる。そうすると演奏も変わってくるんです。

その時の空気でわかるんです。


石田さんは長渕剛さんのファンだそうですね。普段はよく聞かれますか?
聞きますよ。家にいる時には、いつも長渕さんの曲を流しています。ここ何年かは、忙しくてライヴに行ってないですね。
長渕剛さんのどんなところが好きなんでしょうか?
お客さんに語りかけるような演奏スタイルが好きです。ライヴはもちろん、曲もすべて、常に全力でお客さんに向き合っているというか…ジャンルは違うのですが、同じ演奏をする側として、学ぶものがたくさんあるんです。
演奏者の方が、いきいきと気持ちよく演奏されている姿を見ると、聞いている私たちも幸せな気持ちになります。逆に、演奏者の方がお客さんの表情を見てそのように感じられることはありますか?
もちろんありますよ。弾いていて感じるものがあるというか…。演奏中にお客さんが音に惹きつけられているかどうかは、その時の空気でわかるんです。お客さんが音に惹きつけられている中で演奏すると、お客さんとその時間を共有しているという実感が沸いてくるんです。
惹きつけられているかどうかは、お客さんの表情などを見て判断されるんでしょうか?
その時の空気ですね。そういうステージは最高ですね。そうじゃないときもいっぱいありますけど…それから、拍手に違いがあるんです。それがわかるんです。「あら?1曲目終わったのね」のような拍手とは違って、自分の感情をそのまま拍手にしているような「ワァー」っという拍手。まったく違いますからね。拍手の音を聞いて「あ、だんだん惹きつけられてきたな…」と感じる時もあるし、最初からすごいときもあるんです。
演奏中に間違えてしまうこともありますよね。そんな時はどんなふうにカバーしていくのでしょうか?
そうですね。ミスを引きずってしまうとあとに響いちゃうんで、僕の場合はミスしたら、それはそれで忘れて…という感じに受けとって先に進みます。
メンバーに気づかれますよね?
気づかれますね。そして「大丈夫だよ」って。(笑)

恋人・・・彼女でしょうね。

石田さんにとって、ヴァイオリンの存在は?
恋人・・・彼女でしょうね。去年、楽器を変えたんです。もちろん、気に入って変えたんですけど、すごく古い楽器で…機嫌のいいときと悪いときがありますね。とてもデリケートです。
お互いのことをよく理解できている関係ですか?
そうなるのには、時間がかかるんですよ。…わがままで全然言うこと聞いてくれないんです。それに気分屋で、機嫌がいいと思っていたら急に押し黙ってしまうこともある。お互いの心が通じ合うようになるには、僕がもっともっと努力をしなければなりません。
石田泰尚さん.jpg



4月8日の横浜みなとみらいホールの公演では、10thアニバーサリーライヴとして、何か特別に考えていらっしゃることはありますか?
まだ、どういう感じになるかわかりません。そのあたりは、リーダーの中岡を中心に決めていくと思います。
今後「トリオ・リベルタ」で演奏してみたいと思う曲はありますか。
特にないです。レパートリーが増えたらいいなとは思うんですが…。むしろ、僕は全国各地の色々なところで演奏したい…という気持ちがあります。
例えばどこで?
全国です。「トリオ・リベルタ」で行っていない地域がまだいっぱいあるので、そういうところに行って、全国の色んな人に聞いて欲しいんです。今年は10周年なので、おかげさまで九州に行ったりとか、新潟に行ったりとか、色々な土地に行けてうれしいです。
ここ1年以内くらいで印象に残ったライヴは?
仙台市と岩沼市のライヴが良かったですね。
どのようなライヴだったんですか?
すごく盛り上がったんです。なぜだかわからないんですけど、とにかく盛り上がった。お客さんもすごくいっぱい入ったし。開演時間になって、3人で舞台に出ていった時の拍手が違うんです。僕たちのライヴをすごく楽しみにしてくれていた、という気持ちが伝わってくるんです。
そういう時の気持ちを言葉に表すと?
「最高!」ですね。
いっきにテンションがあがりますね。
そうですね。ものすごくうれしいですよ。
(2011年1/19(水)かながわアートホールにて)